2011有馬記念短評:「勝てない競馬で勝つ」。 | 京都プランナー日記

2011有馬記念短評:「勝てない競馬で勝つ」。

「史上最高のメンツ」と言われた第56回有馬記念。

まず、メンバーが史上最高と呼ばれるには様々な理由が必要だ。
今年のGI馬がどの程度出走しているのか、故障で回避した馬が多いか少ないか、そして「花形」が何頭いるか。そういった意味では近年最高のメンバーといって差し支えない素晴らしいメンバーだった。

そんな中で、オルフェーヴルはまさに世代交代をまざまざと見せ付ける圧勝劇。
これまでのレースで、私は彼の強さを若干疑問視をしてはいた。強いことは強いが、三冠馬として世代を背負うことができるかどうかは未知数だと考えていた。

この有馬記念で、オルフェーヴルは最も辛い立場でレースをし、自らも掛かり気味になり、スローペースを後方から進み、なおかつ外から回って稀代の名牝と居並ぶ最強4歳世代をまとめて差し切ってしまった。
いわば「決して勝てないレースで勝ってしまった」のである。
同じ有馬記念、レースぶりや状況は全く違うが、テイエムオペラオーの第45回有馬記念を思い出すようなレースだった。

上がり3F34.0の末脚決着。この展開に最も強いエイシンフラッシュをしてあっさり交わしてしまうのだから、このメンバーでは何度やっても負けない、ということだろう。

ひとつ残念だったのはブエナビスタ。有馬記念を引退レースとする馬は、近年ことごとくこれまでにない着外に終わってしまうケースが多い。「見えない疲れ「世代交代」と形容されるものが、やはりこの名牝にもあったということだろう。

興味深いところでは2年連続で3着に突っ込んだトゥザグローリー。有馬記念というものはこういった不思議なことが往々に起こる。来年も3着を是非3着で駆け抜けて往年の名脇役ナイスネイチャの域を目指して欲しい、と願うのは不謹慎だろうか。




歴代の三冠馬に並ぶ「本当の強さ」を証明したオルフェーヴル。この未来がさらに明るいものになることを、そしてその鞍上には常に池添騎手がいることを祈りたい。それが日本競馬のさらなる発展につながるだろうから。