「采配」(落合博満) | 京都プランナー日記

「采配」(落合博満)


京都プランナー日記-「采配」

最近いわゆるビジネス書に食傷気味だったのだが、久しぶりにこれはという書籍に出会った。「采配」(落合博満)
この本のすごいところは、一般にも分かりやすい形で、「『勝負』という概念に対して客観的に対峙し、決断をしていくこと」の重要性を説いていることだ。

「勝負」というものと対峙し、その時々で最良と思われる目の前の決断を行い、それを勝利として手繰り寄せる。
そのために一人のスポーツマンとして、あるいは監督としてどのように「采配」を振るってきたかのエッセンスが(全てではないにしろ)多分に含まれていると感じる。だからこそ、言葉に迫力がある。

「孤独に勝てなければ勝負に勝てない」
「上司や監督に嫌われているんじゃないかというときは、自身を冷静に見る目が曇り始めたサイン」
「『心技体』ではなく『体技心』」
「気心と信頼は別物」

など、現役当時に「オレ流」などと言われた監督からは想像もつかない、質実剛健な考え方が著されている。
ターゲットとしては管理職のビジネスマンを想定して描かれているように思われるが、特に20代の若い方に読んでもらっても、非常に得るものの多い内容ではないかと思う。

ちなみに、私は著者が「落合選手」だった頃、しかもかなりのベテラン選手だったころに中学生位だった。
40代になっても長らくジャイアンツなどでしぶとく、気にせず現役を続ける落合選手を見て、「この人は一体いつまでやるんだろう」などと言っていたが、ご本人も周囲からそのように言われていることを深く自覚されていたようだ。

「ヒトにどう思われるのか」と考えてしまうところを抑えて、「今の自分には何が必要なのか」をベースにして考える。後書きに描かれている行動指針は、きっと昔からブレがないのだろう。