「仕事」と「結婚」。 | 京都プランナー日記

「仕事」と「結婚」。

「遊び回るのであれば、結婚した方が良い。結婚しないのであれば、がむしゃらに仕事をした方が良い。」


これは私が20代後半の男性を見て、常々思うことである。

なぜ、そのように思うのか。私はもうすぐ32才になる身であり、同年代、あるいは少々上世代の方々と付き合うことが多い。当然仕事での付き合いになるが、最終的に人間としての力量を問われるギリギリのラインにおいて、状況に対して向き合い適切な判断力を「発揮できる人」と「できない人」がいることがわかった。これは「仕事ができる」「できない」と置き換えても良いと思う。仕事の結果というものは事務であれ開発であれ営業であれ、その時々の判断が集積したものであるからだ。


●「判断」ができる男は、「20代に結婚している」か、「仕事に没頭」している
「できない人」の傾向は枚挙にいとまがないが、「できる30代」の傾向は、実際にはある程度明確であり、基本的には2つしかない。「20代に結婚をしている」か、「圧倒的な量の仕事をこなしている」かのどちらかである。これは少し考えれば理由ははっきりする。


●20代後半、普通に仕事をして得られるスキルのレベルは高くない
あえていえば、20代後半というのは仕事に対して慣れが生じて集中力がなくなる割に、得られるスキルのレベルは高くない。社会人として3年~7年程度であり、知識にも偏りがあり汎用性の高い仕事ができるような年代ではない。普通に仕事をしていても、自らの評価ほどには周りから評価されないのが当たり前なのである。
「自分は頑張っているのに、なぜ周囲は認めてくれないのだろうか」と一番思いやすい年代でもある。理由は単純で、自己評価が高いだけである。

私自身も2~3年前を振り返ると、明確にそういう時期があった。ただし、今から客観的に振り返ると自らのスキルの低さに平身低頭するしかないという過去であったりする。


●スキルを身に付けたいのであれば、圧倒的に仕事をする
そういった自己評価とスキルのバランスを得にくい20代後半で、それではどのようにスキルを得るのか。これも答えはシンプルで、「とにかく人よりも努力するしかない」ということだ。
これは精神論でもなんでもなく、イチロー選手や松井選手、落合元監督が何故超一流なのか、ということを考えればよくわかることだ。彼らは周囲を超える、圧倒的なボリュームの努力をしているのだ。

現在の私の同世代の仕事ぶりや成果を見てもよくわかる。若いうちに努力をした分だけ、30代以降でのスキルに、大きな差がつくのである。



●仕事ができないのであれば、人間性を見直す。そのための最良の措置が「結婚」
私は26才で結婚したが、IT業界の一般的な平均から考えると、少々早いほうではないかと思う。

結論的にいえば、結婚し、子供を授かるなどの家庭状況もあり、20代で「圧倒的な仕事」をすることは、自分の理想から言えばできなかった。

ただ、その仕事以上に仕事に役に立つものを得ることができた。それは「人間性を見直す」ということである。結婚の最も最たるメリットは、自らではない「家族」という単位で物事を見るようになることで、とりもなおさず自らを顧みることにもつながるのである。

このことは仕事においても非常に大きな変化をもたらしている。そもそも他者は自分自身を客体として見るのであるから、自分自身がどのように見られているのか、常に指摘してくれる妻や子供の存在はこれ以上ない位に有難いと言えるだろう。

私自身の経験をいえば、このこと自体の有り難味は20代のうちはわからない。ある程度の年数を経て以前の自分を省みたときに、その変化に驚きを覚えるのである。

20代のスキルが低い状態のときに、そういった経験を経ることができたのは、自分にとってはこれ以上ない位の財産になっている。



●遊び回って人間性や仕事のスキルが高まることはない
仕事をがむしゃらにすると、遊び回ることはできない。
結婚をしても、独身時代ほど遊び回ることはできない。

遊びは非常に大切な余暇である。
ただし、私の経験から言えば、「20代後半の大切な時期を遊んで過ごすなんて、本当にもったいない」というのが本音である。

これまで記載してきたように、主に男性にとっては20代後半~30才というのはとても大切な「仕込み」の時期である。エンターテイメントの重要性は否定しないが、20代でないと良さがわからないエンタメなどほぼ存在しない、というのも事実である。(10代でないと深く陶酔できないエンタメが存在することは事実である)
また、「遊びにおいてギリギリの状況における人間力が高まる」ということはなく、30代以降仕事で求められることはまさにその人間力と判断力なのだ。


がむしゃらな仕事も、結婚も、20代後半が最も効果的である。なぜなら他には遊び回る位の社会的要請と責任はないのだから、いずれにも集中しやすい環境が整っている。
どちらを選ぶにせよ、3年後、5年後の自分を形成する大きな土台となることだろう。


「結婚してもしなくても、どのみち君は後悔することになる」
「だが、良妻を持てば幸福になれるし、悪妻を持てば哲学者になれる」

(ソクラテス)