『優れた戦略とは綜合的な論理である』-書評「ストーリーとしての競争戦略」 | 京都プランナー日記

『優れた戦略とは綜合的な論理である』-書評「ストーリーとしての競争戦略」

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冒頭の要約通り、「素晴らしい戦略とは思わず人に話したくなるストーリーである」ということだけが内容なのであれば、この500ページはとても読む価値がないだろう。
しかし、この本の戦略論は実際的には非常に有価値である。

「戦略とはストーリーである」というとワンピースのようなストーリーを創れば良いのではないかとも思われてしまうが、この場合の「ストーリー」とは「エンディングから想起した起承転結を個別要素として組み合わせたもの」であり、極めて論理的なものなのである。(少なくとも経済活動においては)

また、この場合の論理は、「非論理であるものも含めた綜合的な論理」であることがさらに大きなポイントになり、この書籍の戦略論としての面白さを際立たせている。

戦略 > ストーリー > 論理 > 内向性 > 綜合 への展開が非常に現実的かつ論理的であり、この本自体の戦略ストーリーも面白く含蓄がある内容に仕上がっている。

大企業ではなく中小企業、特にスタートアップのベンチャーにとっては参考になる戦略論が多く含まれている書籍ではないだろうか。

※Amazonでは幾つか「後付け論」などの酷評もされているようだが、あくまで最終的な回答を導き出すのが本書の目的ではなく、戦略の考え方をストーリーとして分析し抽象化することが目的であるため、この批判は少々方向性が異なるのではないだろうか。反証としてはAmazonやデル、ガリバーの事例がわかりやすい。