A Star, Modesty Included - 「逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方」 | 京都プランナー日記

A Star, Modesty Included - 「逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方」


京都プランナー日記-「逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方」


甲子園史上初の5打席連続敬遠。

その時私は中学生1年で、家族旅行の移動中に現場をスクリーンで目撃し、一人でとても腹を立てていた。

しかし、ブーイングの混ざる異様な雰囲気の中、粛々と甲子園球場の1塁ベースに向かう松井選手は、その時甲子園球場に存在する人々の中でも群を抜いた大人の風格があったように記憶している。


そんな彼が、なぜその時そこまで大人であったのか、そして「A Star, Modesty Included」(謙虚さを胸にたたえたスター)とニューヨークから評されるようになったのか、この本を通じて垣間見ることができる。


「彼は特別な人だ」

松井選手の番記者を務めた人たちは、例外なく彼の人間性に魅了されるという。


スポーツ選手のルポルタージュは数あれど、読んで心が洗われるものはない。競争原理があるから当然のことであろう。しかし、この本には彼自身が醸し出し全体を包み込む大きなやさしさが存在する。


彼の国民栄誉賞受賞に対して、適切ではないと答える人がいることはとても残念だ。

彼を少しでも知ろうとして行動を見れば、野球人としても人間性としても日本を代表する人物であることは明らかだからだ。


「今後時間をかけてこの賞をいただいても失礼ではなかったと証明できるよう努力していきたい」

これを本心として、そんなことが言える人物が果たしているのだろうか。

それが彼なのだ。



彼はこれからも逆風に立ち続けるだろう。

ニューヨークで最も有名になった日本人。

その第二幕のはじまりを、急ぎはしないが心から期待したい。