「利権」の目指す先に何が - 「プロメテウスの罠 3」 | 京都プランナー日記

「利権」の目指す先に何が - 「プロメテウスの罠 3」


京都プランナー日記-プロメテウスの罠 3


福島原発事故の真実に迫る、2012年最も注目された朝日新聞のノンフィクション記事、第3弾。


病院、除染、避難指示、がれき処理、そして研究施設と称した最終処分場。

客観的な事実を組み合わせる程、国家とそれに関わる人々の「利権」が構造として浮かび上がる。


私は「利権」そのものを否定しない。


「利権」とは、「利益にまつわる権利。 政治家や官僚、他国政府、法的・制度的に優遇されている団体と結託した業者の権利。 」ということだ。(はてなより)


それが大義に利用されるのであれば、業者が権利を行使することに問題はない。10億の利権が動くとしても100億の大義に使われるのであれば、是非利権を行使してもらいたい。


ただ、この本の内容を咀嚼する限り、残念ながらそのような大義は存在しないようだ。それが故に「利権」という言葉が残念な響きを持って伝わるのであろう。


コストが高く、必要性がそれ程ない上に自治体同士の揉め事に発展してしまったがれきの広域処理。そのPRには2年に渡って10億単位の広告費用が大手代理店に支払われたという。

また、研究所という名の最終処分場建設承認をもらうのため、架空の団体から依頼を受けて全国行脚したエージェント。そのエージェントは団体が架空であることすら知らずに全国の自治体へ名刺をばらまいたとのことだ。

それらの反面、いまだに10万人以上が不便な避難生活を続けている、という事実。


全てを直接支援に向けることは難しいのは想像に難くないが、あまりにも想像力・大義に欠けているのではないか、と思わされる内容も少なくない。



構造の根深さに嘆息するしかないが、それでも希望の一端も見える章も存在する。


新聞から日々扱いが少なくなる原発・震災関連情報だが、今後も是非この濃度の内容を続けていただきたいと思う。