過疎集落への希望の道筋-「限界集落株式会社」 | 京都プランナー日記

過疎集落への希望の道筋-「限界集落株式会社」

限界集落株式会社



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この本はその名前の通り、現在の社会的課題である「過疎」「少子化」「農業」などのいわゆる「地味なテーマ」を取り扱っている。


そんな小説仕立てしにくいテーマとは相反してストーリーはとても読みやすく、対立項も明確なので感情移入しながら読み進めることができる。これには登場人物それぞれの設定がとても個性的であり、「キャラ立ち」していることが大きく貢献していると思われる。

私自身が人口2,000人の地区出身であることもあり、とても興味深く一気に読み終えてしまった。


いわゆる農業を中心とした田舎の地域と都市の対立というものは当然あるが、この小説の中ではその二項の相克を目指しており、少なくとも小説上ではハッピーエンド。とても清々しい。


「現実はこんなに上手くいかない」などの声は多々あろうかと思うが、それでも良いのではないか。

この本の中でも「声を上げることこそが大切だ」と登場人物が言っている。道筋はあってもその道自体は事例によって様々なものが生まれてくるのは当然のことだ。



人口減少や過疎というものは緊急のリスクではなく、「先が見えるリスク」である。

40年後に人口が3800万人減少するのが「予測できる未来」なのであれば、打てる手はあるはず。

そういった希望を見出すことができる、未来に向けてとても前向きになることができる小説だ。


推理小説や恋愛小説も大いに結構だと思うが、こういった社会問題解決派小説がどんどんこの世に出て欲しいと思う。